おもひでぴろぴろ

農学部生が農学に関係ないことをぴろぴろと更新するブログ。

これぞ崇高な芸術...!人類の普遍的テーマを描き出した、ピンク・フロイドの代表作「狂気(The Dark Side of the Moon)」を紹介

ピンク・フロイドは、イギリスの5大プログレッシブロックバンドのひとつです。

彼らのもつ重厚で哲学的なその独特の世界観は、世界中で人気を博し、その総セールスはエルヴィス・プレスリービートルズマイケル・ジャクソンの次に多いと言われています。

今回は、そんな彼らの代表作「狂気(The Dark Side of the Moon)」を紹介します。

1973年に発表された「狂気(The Dark Side of the Moon)」は、全世界で5000万枚の売り上げセールスを記録しました。

このアルバムの売り上げ記録はギネス記録に載っているそう。

なぜ、こんなに世界中で売れたのでしょうか?

プログレッシブロックは、芸術性が高く難解で、万人受けするとは言い難いものなのに...

その理由は、「芸術性と大衆性を高い次元で融合させたから」と何かの記事で見たことがあります。

確かに、このアルバムには人間の内面に潜む狂気を描き出すというコンセプトがあり、「時間」や「お金」など、難解になりがちなテーマを扱いつつも聴きやすい楽曲に仕上げているところが大きな要因なのかもしれません。

人間だれしもが共感できる普遍的なテーマを、ポピュラー音楽であるロックで表現したことがとんでもないビッグセールスにつながったんじゃないでしょうか。

そんなモンスターアルバムのジャケットはこんな感じ。

Dark Side of the Moon

アーティスト名、アルバム名が一切表記されていないこのジャケットから、もうすでに崇高な芸術性があふれだしていますよね。

これを見ただけで、あ、ピンク・フロイドの「狂気」だ。とわかるインパクト大のジャケットです(笑)

ビートルズの「アビイ・ロード」(横断歩道のやつです。)並みに有名なジャケットなので、このデザインがプリントされたTシャツとかをみたことがある方もいらっしゃるかもしれません。

それでは、アルバムの中から数曲をピックアップして紹介していく前に、ぼくがこのアルバムを初めて聴いたときにの率直な感想を。

それは、ただただ唖然。

ラストの曲が終わってからの余韻がすごい...!

超名作の映画を一本見終えたときのような余韻がしばらく続きました。

これが、ピンク・フロイドの世界観なんだ...!と実感しましたね。

うまく言い表せないですが、ピンク・フロイドの世界観は、ほかのロックバンドのもつ世界観とはまったく違うんです。

ピンク・フロイドがコアなファンから宗教的な支持を受けている理由がわかったような気がします。

 

それでは、アルバムの中から数曲をピックアップして紹介していこうと思います。

本当はアルバム全曲を通して聞いてもらいたいんですけど、まあそれは興味をもってからでいいかなと。

#1 Breathe in the Air

1曲目、「Breathe in the Air(生命の息吹)」は、このアルバムのオープニングを飾る短いイントロに続く曲です。まあ実質オープニング曲ですね。

すみません、途中で途切れているのは、間髪入れずに次の曲が始まるからです。

次の曲はインスト曲(歌詞のない曲)なので、今回は紹介しません。

ピンク・フロイドの世界観に一気に引き込まれるこの曲は、初めて聴いたとき、深くどんよりとした浮遊感のある曲調に不安とちょっとした恐怖を感じました。

なんだか子どものときによく感じた、理由もなく不安が襲ってきて、怖くなっていた感覚に似ていました。

今はもう慣れてしまって、不安や恐怖は感じなくなりましたけどね。

#2 Time

続いて2曲目、「Time(タイム)」は、アルバムでは3曲目に収録されています。

チャイムやらなんやら、けたたましい時を告げる音ではじまるこの曲は、タイトル通り時間をテーマにした楽曲です。

「若い時は時間が無限にあるように感じ、君はただ無駄に過ごしていくだけ。」や「時間は気づけばあっという間に過ぎていく。君は走り出すタイミングを見過ごしたんだ。」等々、耳が痛い歌詞です。(笑)

この曲を聴くたびに、時間を無駄に過ごしてしまっている自分がいやになります...

年を取ってから後悔しないために、もっと時間を大切にして生きていかないと思わされる曲です。

この曲も、終わる間もなく間髪入れずに先ほど紹介した曲「Breathe in the Air(生命の息吹)」のリプライズが始まります。

このアルバムは全曲繋がっているので、1曲1曲を個別で紹介するのは難しいですね(笑)

#3 Money

3曲目、「Money(マネー)」はアルバムの5曲目に収録されている曲です。

この曲は、「Time(タイム)」とは対照的にお金にちなんでレジスターの音から始まります。

このアルバム中で一番キャッチーでロックな曲で、ライブでも人気です。

歌詞は完全にお金に憑りつかれています(笑)

とはいえ、お金は諸悪の根源だというフレーズもあり、ひとえに世の中金だぜと言いたいわけではないようです。

ごめんなさい、ぼくはあまり歌詞を気にしないので無頓着な解説になってしまいました(^^;

この曲もブツッと切れてますが次の曲が間髪入れず始まっているからです。

#4 Brain Damage / Eclipse

ラスト4曲目、「Brain Damage(狂人は心に)」と「Eclipse(皆既日食)」は本来別々の曲ですが、つながっているので一緒にして紹介します。

この2曲はこのアルバムのラストを飾る曲で、ついにこのアルバムのコンセプトである、人間の内面に潜む狂気に終結します。

「Brain Damage(狂人は心に)」では、人間の内面に潜む狂気が姿を現し、乗っ取っていく過程を表現しています。

まるで怖い話のメリーさんのように狂気が近づてくる様子を淡々と実況しているような歌詞が怖いです(笑)

狂気を"lunatic"と表現していますが、なぜ狂気が"lunatic"になるのかというと、昔は月の霊気に当たると気が狂うと考えられていたことから、ラテン語で月を意味する"luna"から狂人や狂気を"lunatic"と言い表すようになったそうです。

この辺りは西洋と日本とで月に対する考え方の違いが感じられますね。

そしていよいよクライマックス!「Eclipse(皆既日食)」は、この世のすべてが狂気に支配されるのは避けられないということを、皆既日食に例えています。

太陽の下、調和がとれていた地球に狂気の象徴である月が覆いかぶさることで、地球上の全人類は狂気から逃げることはできないということです。

この終結の仕方は本当に見事。

 

こうやって記事にしてみると改めてこのアルバムの構築美に驚かされます。

哲学的なコンセプトと、計算しつくされた緻密な構成が生み出す重厚な世界観がピンク・フロイドの魅力だと思います。

興味を持った方は是非アルバム全体を通して聴いてみてください。